創業融資とは、創業期の事業資金を借りる仕組み
創業融資は、これから事業を始める方や、事業を始めて間もない方が、設備や日々の事業運営に必要な資金を借りるための融資です。この記事では、日本政策金融公庫の国民生活事業が取り扱う創業融資を扱います。
代表的な制度は「新規開業・スタートアップ支援資金」です。新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方が対象で、適正な事業計画を策定し、その計画を実行する能力が十分にあると認められることが条件です。
創業期に利用する3つのポイント
日本政策金融公庫は、新たに事業を始める方、または事業開始後に税務申告を2期終えていない方について、次の3点を案内しています。
原則として無担保・無保証人
創業期に該当する方は、原則として無担保・無保証人で各種融資制度を利用できます。ただし、個別の申し込みは審査され、希望に沿えない場合があります。
利率を原則0.65%引き下げ
創業期に該当する方は、原則として適用される利率から0.65%、雇用の拡大を図る場合は0.9%引き下げられます。実際の利率は、資金の使いみち、返済期間、担保の有無などにより異なるため、申し込み時点の金利情報を確認してください。
長期の返済期間
新規開業・スタートアップ支援資金では、設備資金は20年以内、運転資金は10年以内です。いずれも据置期間は5年以内とされています。
対象者と主な条件
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方 |
| 前提 | 適正な事業計画を策定し、その計画を実行する能力が十分にあると認められること |
| 資金使途 | 創業時または事業開始後に必要な設備資金・運転資金 |
| 融資限度額 | 7,200万円 |
| 設備資金の返済期間 | 20年以内(据置期間5年以内) |
| 運転資金の返済期間 | 10年以内(据置期間5年以内) |
| 担保・保証人 | 希望を確認しながら個別に相談 |
「創業期」の優遇が適用される範囲と、「新規開業・スタートアップ支援資金」を利用できる期間は同じではありません。前者は新たに事業を始める方または税務申告を2期終えていない方、後者は事業開始後おおむね7年以内までが対象です。
女性・若者・シニアの方への特別利率
女性、35歳未満、または55歳以上で、新たに事業を始める方か事業開始後おおむね7年以内の方には、原則として特別利率Aが案内されています。土地にかかる資金は基準利率です。このほか、一定の要件に該当する場合には別の特別利率が適用されることがあります。
借りた資金は設備資金と運転資金に使う
新規開業・スタートアップ支援資金の使いみちは、事業を始めるため、または事業開始後に必要となる設備資金と運転資金です。申し込み前に、必要な費用をどちらに分けるか整理しておくと、創業計画書と見積書を対応させやすくなります。
設備資金
店舗や事務所の内外装、機械、什器、車両など、事業に必要な設備の取得に使う資金です。設備資金を申し込む場合、見積書の準備が必要となります。
運転資金
仕入れ、家賃、人件費、広告費など、事業を運営するために継続して必要となる資金です。何か月分を必要とするかを考え、費用の内訳と金額の根拠を創業計画書にまとめます。
設備資金と運転資金の具体例は一般的な分類となります。個別の支出が融資対象になるか判断に迷う場合は、申込前の予約相談や事業資金相談ダイヤルで確認してください。
申し込みから返済までの流れ
日本政策金融公庫が案内する創業予定者の一般的な手続きは、次の順序です。相談は必須の申込工程ではありませんが、制度や手続きについて事前に確認できます。
- 必要に応じて相談する:電話、オンライン、支店窓口で相談できます。オンライン・支店窓口での相談は事前予約が案内されています。
- インターネットで申し込む:申込はインターネット申込を利用し、必要書類を電子データで提出します。郵送を希望する場合は借入申込書も必要です。
- 面談を受ける:資金の使いみちや事業計画について説明します。事業計画に関連する資料、資産・負債が分かる書類などを準備し、店舗や事業所の予定地を訪問される場合もあります。
- 審査結果を受ける:日本政策金融公庫が事業計画などをさまざまな角度から検討し、融資を判断します。
- 契約し、送金を受ける:融資決定後に案内される契約手続きを完了すると、融資金が金融機関の口座へ送金されます。
- 返済する:返済は原則として月賦払いです。元金均等返済、元利均等返済、ステップ(段階)返済などの方法があります。
申し込み時の主な必要書類
創業予定の方がインターネットで申し込む場合、公式ページでは次の書類が案内されています。申込内容によって必要な書類は異なります。
- 創業計画書
- 設備資金を申し込む場合の見積書
- 履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人の場合)
- 本人確認書類
- 許認可証(許可・届出などが必要な事業をすでに営んでいる場合)
- 担保、生活衛生関係事業、電子契約など、該当する申込内容に応じた書類
面談では、これらに加えて事業計画に関連する資料や、資産・負債が分かる書類などの準備が案内されています。郵送で申し込む場合は、上記資料に加えて借入申込書(国民生活事業用)が必要です。
申し込み前に確認したい7項目
申込フォームを開く前に、次の項目を整理しておきましょう。創業計画書、見積書、面談での説明を同じ内容にそろえるための確認項目です。
- 創業予定日、法人・個人の別、創業予定地が決まっている
- 商品・サービス、販売先、販売方法を説明できる
- 必要な設備と金額を見積書で確認している
- 仕入れ、家賃、人件費などの運転資金を整理している
- 自己資金と借入希望額を分けている
- 売上・経費・利益の見通しと、その根拠を説明できる
- 毎月の返済を含めても事業を続けられるか確認している
このチェック項目は、公式ページが提出を案内する創業計画書を作成するための整理手順です。特定の項目を満たせば融資を受けられる、という審査基準を示すものではありません。
まとめ:制度を確認したら、創業計画書で金額の根拠を整理する
日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、これから事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方を対象とし、設備資金と運転資金に利用できます。創業期の方には、原則として無担保・無保証人、利率引き下げなどの案内があります。
申し込みは、必要に応じた事前相談、インターネット申込、面談、審査、契約・送金、返済という流れです。最初の実務は、必要な設備と運転資金を洗い出し、自己資金、借入希望額、返済を含む収支見通しを創業計画書にまとめることです。